I Am A Plastic Bag


“ 2007年の『I’m NOT a Plastic Bag』では一定のインパクトを残すことができましたが、使い捨てにされるプラスティックの問題が解決したわけではありません。しかしながら、単にプラスティックの使用を減らすよう「心がける」といったことから、ものをつくる過程に「循環」という考えを織り込むことへと、めざすところは移っていったのだと思います。そうしたことを考えながら、2年間を費やして生まれたのが『I AM A Plastic Bag』です。”
アニヤ・ハインドマーチ
地球上には80億トンのプラスティックがあるといわれますが、それを捨てようとしても、そんな場所は存在しないのです。小さな一歩かもしれませんが、すでにあるものを再利用することから『I AM A Plastic Bag』コレクションは生まれました。新たに開発したコットン・キャンバスを思わせる風合いのファブリックを用いたバッグ1つが、500ccのペットボトル32本を再利用することで生まれます。
2020年に『I AM A Plastic Bag』をスタートさせて以来、素材や製造工程への見直しを加え、2025年秋冬シーズンより、素材となる再生ファブリックを私たちにとっての「ローカル」であるヨーロッパで生産することが可能となりました。


Where It All Began...
アニヤ・ハインドマーチが2007年に手がけた『I’m NOT A Plastic Bag』は、広告代理店である「Antidote」、社会変革をめざす団体「We Are What We Do(現在のShift)」とのコラボレーションの一環として展開したプロジェクトでした。限定販売のキャンバス・トートの発売日には、英国のスーパーマーケット『Sainsbury’s』に8万人が列をなし、その後、各国の都市で同様の現象が続き、これが世界中のメディアで報じられたことから、プラスティック・バッグ(レジ袋)をめぐる議論を加速させることとなったのです。英国では、その結果としてレジ袋の有料化へとつながりました。
英国内で、2006年に106億枚用いられていたレジ袋が、このキャンペーンを経て、2010年には61億枚にまで減ったという報告があります(The British Retail Consortiumによる)。スーパーマーケットの『Sainsbury’s』では、2007年からの2年間で、無料のレジ袋使用量を4割強(約3億枚)削減し、これは新たなプラスティック13,200トンの生成を抑制したことになるとのことです。
2020年になっても、こうした問題が解決したというわけではありませんでしたが、一方で、ものづくりの過程における「循環」という考え方は徐々に浸透しはじめていました。今あるものを、廃棄することなく、いかに有効に利用するか。そうした考えの延長線上に『I AM A Plastic Bag』を開発し、発表することとしたのです。


The Launch
『I AM A Plastic Bag』の販売を開始するにあたり、ロンドン・ファッション・ウィークの期間中に記念のイベントを開催することは見送りました。その代わりに、ロンドン市内の店舗を3日間休業し、店内を使用済みのペットボトルで埋めつくし、捨て去られるペットボトルへの注意を喚起することにしたのです。必要となるボトルは90,000本以上、これをアニヤ・ハインドマーチのスタッフが身近な場所から集め、持ち寄りました。膨大な数に聞こえるかもしれませんが、英国内では8.5分ごとに、これだけの数のペットボトルがゴミ処理場へと運ばれているのです。


The Bottle-o-Meter
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読んでくださっている間に、
英国内では、これだけの数の
ペットボトルがゴミ処理場へと
運ばれているのです。
The Process
『I AM A Plastic Bag』を誕生させるまでには、2年の年月を要しました。まずは、使用済みのペットボトルを再生したファブリックの開発に取り組み、コットン・キャンバスを思わせるような風合いのファブリックができあがりました。そして、じょうぶさと耐水性を確保するために、表面にはコーティングを施しています。
Our Journey
『I AM A Plastic Bag』には、ペットボトルから生成した糸を織ってできたファブリックを用いています。ペットボトルを分類し、砕き、洗浄した後にペレット状にしたものを、溶かし、繊維として取り出し、これを織ることでファブリックができあがります。
バッグには、レザーを用いトリミングを施しています。当初、トリミングには合成皮革、あるいはリサイクルしたレザーを用いるというプランもありましたが、さまざまなリサーチの結果、こうした素材を用いることは、許容量以上のポリウレタンを使用することになるため、信頼できるサプライヤーによるレザーを用いることにしました。
私たちは、さらなる進化を続けることを目指しています。つねに「完璧よりも、いまできる最善のこと」を追求するよう心がけているのです。

私たちは、
アニヤ・ハインドマーチという
ブランドとそのビジネスが、
サステイナブルであることを
めざします。
そのうえで、私たちは
「Positive Luxury」に対し
「Butterfly Mark」を申請し、
これを受領しています。


Inspiring Stories
このプロジェクトを準備するなかで、廃棄物処理の問題と向き合っている「ブランド」と私たちは出会いました。