『I AM A Plastic Bag』の開発に際して、廃棄されるものを減らすということを心がけるなかで、廃棄ということと無縁のバッグを作ることはできないのかな、と考えはじめたのです。
アニヤ・ハインドマーチ
The Collection
バッグは、どれもが、柔らかく、たっぷりの容量を確保し、機能的な収納を内部に用意しています。先進的な技術で仕上げたレザーを用いているため、使用するうちに、ひとつひとつが個性を感じさせる表情になっていきます。雨粒がシミになったりすることを防ぎ、レザーに養分を補給し長持ちさせることのできる、専用の『Chambers Wax Polish』が付属します。
*コレクションのアイテムは、オンライン・ストア、日本橋高島屋S.C.本館1階 アニヤ・ハインドマーチで扱っております。
Return to Nature
Arizona Muse and DIRT
今回のプロジェクト『Return to Nature』は、アニヤ・ハインドマーチが環境活動家のアリゾナ・ミューズにインスパイアされスタートしたものですが、アリゾナが運営する団体『DIRT』では、耕地を減衰させることなく、土壌を健康に、肥沃にしていく循環型農業の普及に取り組んでおり、コレクションの売り上げの一部を『DIRT』に寄付します。
The Journey
将来的に廃棄物を限りなくゼロに近づけること。自然界の循環ということに思いを致すこと。そうしたことを念頭においた2年の開発期間が必要でした。まずは、トレーサビリティが確保されているレザーを手配することができ、最先端のなめしと仕上げの技術に精通しているタンナリーを探すこと。そして、ハードウェアを用いず、しっかりとバッグを閉じることができ、ストラップの長さを調節できる方法を編み出すことが必要だったのです。
The Results
革は、従来のクロム(生分解を妨げるといわれます)などを用いる方法ではなく、新たに開発された「zeology」という手法でなめされ、重金属やアルデヒドを含みません。そして、ポリウレタンなどでのコーティングは施さず、蚕の体内に存在する「液状絹」を仕上げに用いています。これにより、28日間でその9割近くが生分解されるとされています(実験では、45日でコンポスト状態に達しました)。
Return To Nature by Numbers
The Partners
今回のコレクションは、ドイツの家族経営のタンナリー『Richard Hoffmans(1899年創業)』、オランダに拠点を置く『Nera(1821年創業のSmit & Zoon社の一部門)』とのコラボレーションの結果、生まれたものです。原材料は『Scan-Hide』社のスウェーデンの工場より、動物保護の観点において最高水準の基準を満たしたものが提供されます。
FAQs
使用しているレザーは、特別なものなのですか?
『Return to Nature』のバッグに用いるレザーは、先進的な技術を持つタンナリーによって、アニヤ・ハインドマーチのために供給されます。スウェーデンの農場からトレーサビリティの確保された原皮がオランダへと運ばれ、ここで従来のクロム(生分解を妨げるといわれます)などを用いる方法ではなく、新たに開発された「zeology」という手法でなめされます。最終的には、ドイツのタンナリーにおいて、従来用いられてきたポリウレタンなどでのコーティングではなく、蚕の体内に存在する「液状絹」を用い仕上げます。こうして生まれたレザーは、自然な風合いを持ち、「かつてそうだった」ようにレザーの匂いを漂わせます。そして、バッグとしての使命を終えた後には、生分解し土に還ることができるのです。
「生分解」とはなんですか?
生分解とは、レザーが微生物の働きにより、水、二酸化炭素、アンモニアなどに分解される課程のことです。
「コンポストにできる」とはどういうことですか?
コンポストとは、有機物が生分解した結果として生まれるもので、熟成が進んだコンポストは肥沃な土と似ており、肥料として用いることができます。「コンポストにできる」ということは、生分解が可能な物質ということであり、その課程で樹木や作物に有益な滋養分を土壌に加えるという利点があります。
でも、誰もアニヤ・ハインドマーチのバッグを土に還したいなんて思わないのでは?
私たちの目標は、廃棄されることのないバッグを作りたいということなのです。『Return to Nature』のアイテムに限らず、私たちのバッグは、長く愛用いただいて、場合によっては世代を超えて受け継いでいただきたいと考えています。現実問題として、私たちのバッグがゴミ箱に捨てられることは考えにくいとしても、バッグが「使命を終えた」際にどうすべきなのかを、責任を持って示すことは大切な課題だと考えています。
レザーが生分解すると、どうしてわかるのでしょう?
今回のコレクションに用いているレザーは、『Eurofins BLC Leather Technology Centre』という検査機関による2種類のテストを行っています。1つの検査では、加工していない原皮の生分解する能力が100%であるとすれば私たちのレザーの値は89.2%であること、もう1つの検査では、熱を加えた環境下において私たちのレザーは45日後に分解が完了することが明らかになっています。また、バッグがコンポスト化した際の植物への影響に関する検査を行い、現在は、その結果の到着を待っているところです。
『Return to Nature』のバッグは生分解するなら、バッグを使っている間に分解してしまうことはないのですか?
バッグは通常の使用に耐えるよう製造されています。生分解が起こるのは、コンポスト化する条件を満たした環境(しかるべき土壌など)にレザーを置いた場合のみです。
バッグの状態を最良に保つには?
天然のレザーが素材ですから、上質な革靴と同様にお手入れが必要です。このコレクション用に開発されたワックスを用いることで、雨粒などでシミができることを防ぎ、養分を補います。ワックスを塗ると、1~2時間のあいだレザーの色が濃くなりますが、ワックスがレザーに吸収された後は、元の色合いにもどります。また、このレザーは長くご使用いただく間に、風合いと美しさを増していきます。
バッグの「カーボン・フットプリント」は?
バッグの「カーボン・フットプリント」は、そのバッグが使命を終えるまでの期間の環境負荷から導かれます。とはいえ、これ以前のバッグの製造にまつわる負荷を考慮することが必要であるため、極力フットプリントを小さくするよう努力を続けますが、ゼロとはならないことから、カーボン・オフセットの考え方を用い、カーボン・ニュートラルを確保できるよう努めています。
このプロジェクトには、どういうパートナーが関わっているのですか?
『Scan-Hide』というスウェーデンの農場が原皮を確保し、オランダの『Nera Tanning』が先進的ななめし技術でこれを処理、ドイツの『Richard Hoffman』で仕上げを行います。また、専用のワックスは『Chambers』と共に開発しました。
このコレクション以外のアイテムも、サステイナブルなのですか?
アニヤ・ハインドマーチでは、バッグやアクセサリーを商品として製造し供給していくうえで、よりよく自らの責任を果たすことのできる方法を、自分たちで編み出す、あるいは探し出すよう努めています。国連の提唱する『Fashion Industry Charter for Climate Action(ファッション業界気候行動憲章)』に参加し、ナイロンやサテン、フェルトやキャンバスなどは、可能な限りリサイクルした素材を用いるようにしています。また、過大な消費へと結びつくことを避けるため、旧来のファッション界のカレンダーとは距離を置いています。『Return to Nature』の他には、使用済みのペットボトルを利用した『I AM A Plastic Bag』や『Waste Not Want Not』などのキャンペーンも手がけてきました。私たちは、完璧を追い求めるよりは、スピード感を持って、ビジネスの全般にわたって、よりよい方法を探し出すべきだと考えています。そして、そうした私たちの旅は、まだはじまったばかりなのです。